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<<<<<< 左大臣助平(スケヒラ)の悩み「耳楊枝」 >>>>>>

  (遠路はるばる駿河の国に出張った際、昼食後何気なく挟んだ耳楊枝。) 
助平は時折、社交倶楽部まがいのジジ連と食事を共にする機会がある。特に年度の節目前後にはこの類の食事会が多いようである。

 一般的には世間からジジ様、ババ様と呼ばれる年齢に達すると、食後楊枝をつかう癖が自然と身に付くようである。
 それは助平とて決して例外ではないが、ジジ連ともなると食後一斉に楊枝で歯をせせるその様相たるや異様を通り越し、むしろ壮観でさえある。

 助平、何気なくその様子を見つつ、どうやら自分だけは未だ青年の類であり、楊枝使うほど老いぼれてはおらぬ。と虚勢張り、使いたいのをやせ我慢。
 無意識のうちに手にしたる楊枝、後程人気なき場所にて心置きなく使うべく、ひょいと耳に挟み込んだのが大間違い。

 三歩歩けばケロリと忘れ、そのままの姿で会場後にし、途中口喧しき御婦人連とのご挨拶やらなにやら、大した用も無いのにやたら人に会い、しかし悲しいかな誰一人として、耳の楊枝注意する者はなし。
 これといって仕事らしい仕事もした訳ではないが、一応の役目は終えたとみえ、何とか帰宅し着替えを済ませ、茶を喫しようと座った途端、家人一同どんぐり眼。

: とと様!耳の楊枝は何かのオマジナイでございましょうか。アタシは左様に理解致さねば、嫁に行くのに障りがあるように思えます。

: 助平殿にマジナイなぞ効く筈もありませぬ。あれは単なるヌケサクの姿。あのような素っ頓狂な父を持ったそなたが母は不憫でなりませぬ。

 あのようにクソガキの如き父に縁付いた母を多少気の毒に思いますが、何故一緒になられたのか、理解に苦しみます。

: 嫁がねば、ソナタの存在はこの世にあり得ませぬ。ソナタにもしっかりとその血は受け継がれておりましょうことに、何とも末恐ろしきものを感じてなりませぬ。

婆や: そのようにおっしゃられては助平様がお気の毒。婆やは助平様ご幼少の頃より面倒見させていただいておりますが、オツムの仕組みが他のお方と多少違うだけでございます。
黙って座っておられれば、いささかも常人と変るところはございません。とにかく喋りさえしなければ、何の不足もございません。


助平: 各々勝手なることをぬかしておるが、余は決して耳の楊枝取るのを忘れた訳ではない。あれは耳掃除もできるし、鼻クソもほじれる。斯様な便利なもの、安易に捨てるは犯罪に等しき行為なり。

 助平、必死に抗弁するも、一応聞く耳持つは爺やのみ。無理もない、最近爺やもすっかり耳が遠くなり、人の話などまともに聞こえる訳もなく、(尤も聞くつもりもさらさらないのだが)ただただ訳も解らず相槌打っているだけの事。

“タンポーン”・・・来客の押すチャイムの音
婆や:助平様、あのチャイムの音、なんとかなりませぬか。あの音聞く度に、私めには遠い昔に縁の切れた行事を思い起し、切なさを覚えます。

助平: そのような事より、婆やのそのヘソ曲がった腰のほうが、余程切なくないか? 余がオガキだった頃は、もそっとシャンとしておった筈だが。
いつの間にやら頭と腰が、ヘソ曲がりになっておるではないか。奧も間もなくそのようになるのであろうかと思うと、ウー・・・頭は既に大分きておるようだが。 何やら恐ろしきものを感じてならぬ。


: よくもヌケヌケとほざいてくれますこと。助平殿の曲がった口、早速にも治療していただきましょう。いっその事、縫っていただきましょうか。婆や、珍安先生を呼びしなさい。

婆や: はて!珍安先生は獣医さんではありませんか。確か先日節操の無いポチの去勢手術をしていただいた先生でございます。

: タヌキの口を縫っていただくには、珍安先生が適任でありましょう。いっそのこと、上も下も縫っていただきましょうか。

 話題が思いも寄らぬ方向に飛んでゆくのは、毎度のこととて、空っ風が頭の上を通り過ぎてゆくのを、ただじっと我慢しておれば何と言うことでもないが、玄関で待たされる者はたまったものではあるまい。…が、斯様なる時、邸内の一種異様な気配嗅ぎ取るや、殆んどの借金取り、物売りの類はその場からさっさと去ってゆくようである。

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