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<<<<<< 左大臣助平(スケヒラ)の悩み「猫なめずりと寝屁」 >>>>>>

 助平のあまた存在する愚友の一人に、のんべヨシという、酒と女にふしだらな男が居ること、既に承知のことと思うが、彼には無計画に儲けた子供が二人居る。

不思議とバランス良く、一男一女であるが、夫々立派に成人し、仕事に励んでおるようである。彼等は成人するや、さっさと親離れしてしまい、悠々と自活を楽しんでいるようだ。

巷の噂によると、親離れの原因は、自分の友人達に親の姿を見せることに、ある種の恐怖感を抱いてのことらしい。

それは決してのんべヨシに限ったことではない。助平の仲間達、夫々多少事情は違へど、子供等の親離れの原因には共通するものがあるようだ。

のんべヨシにしてみれば、多少の憎垂れ口はたたかれても吾が子である、一つ屋根の下で暮らしたいのは山々だが、無理に引き止めるのも、親のメンツが許さぬ。

止む無く貧弱なる知恵絞り、辿り着いた結論が替わりの家族。

これが犬3匹と猫1匹。犬はプードルのつがいとその二世であるが、いわゆる座敷犬も3匹揃うと実にやかましい。

最もやかましいのは息子犬であり、客が来ると母犬と共に、先ず玄関で吠えまくる。それに引き換え、父犬には威厳のかけらもなく、息子の後ろで、遠慮がちに一応格好つけに吠える程度。兎に角臆病この上ない。

 猫は三毛の捨て猫である。ある朝彼が立ちションしようと、寝ぼけ眼で外に出ると、一匹の子猫。庭先で如何にも哀れを誘うが如き、弱弱しき鳴き声と、じっと見つめるその目つき。

可哀想だが無視しようとばかり、目を合せぬよう小便垂れ始めた途端、擦り寄り離れず。 小便かけては失礼であろうと、空いている手で抱き上げたのが運の尽き。

子猫は、それは必死に彼の胸に張り付いたまま頑として放れず。どうにも剥がれず仕方なく、家の中に入れたが最後、瞬く間に先住民族を乗り越え、今や家長の座に居座る身に。実に急激なる出世を遂げたそうな。

家の中では特に悪さをする訳でもなく、別段教育した訳でもないのだが、尻クセもよろしいようで、彼もついつい可愛がる。

 この猫、拾い上げてくれた飼い主に対する恩だけは、不思議と忘れぬようである。 のんべヨシが晩酌後、毎度の如く居間でノビていると、その酒臭い面を、イトオシげにペロペロと舐め回すそうである。

猫の舌というものは、極めてざらついており、顔などを舐められると、存外痛さを感じるようであり、さすがの飲んだくれも、ウトウトコックリ、ペロペロヒリヒリ。 やがて堪らず起き上がり、逃げるように布団にもぐり込む。 これまで女房に尻叩かれ、這うように寝室に行っていたようであるが、これには女房、大助かりだとか。

 しかし、彼の一日はこれにて打ち止めという訳にはいかない。布団に入り、イビキを発すると、待ってましたと、臆病父犬がもぐり込み、やがて彼と一緒にイビキをかく。

 犬のイビキは別に珍しいことでもないが、犬の屁にはいささか閉口するそうな。

この犬、何故か布団の中で、必ず音を立てずに放屁するクセあり。いわゆるスカシッペであるが、のんべヨシ、「クセーこのやろ!」と一旦目を開け、怒ってはみるが、可愛さには勝てず、臭いに我慢しつつウトウト、やがて揃ってイビキ合戦。

 犬は飼い主に似るとよく言われるが、助平はいくら贔屓目に考えても、残念ながらそれを否定すべき材料を見出すことに、少々難を覚える。 犬猫夫々、愛情表現に、よそ様とは大分違いがあるようだが、のんべヨシにしてみれば、彼等は今や大切な家族なんだそうな。


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