よろずや余之助ロゴ 余之助の独り言ロゴ
トップページへ移動
余之助の概要へ移動
こだわり商品へ移動
イベント案内へ移動
このページのロゴ
アクセスへ移動
関連リンクへ移動

<<<<<< 左大臣助平(スケヒラ)の悩み「花鉄砲」その1 >>>>>>

 今年は上州東毛の地にも、何故か雪がまめに降った。しかしこの雪達はまるで一貫性がない。
つい先日のこと、異様な寒気に助平堪らず目を覚まし、背を丸めつつヨタヨタと厠に向かった。
眠気眼でぼんやり外見れば、廊下の窓に映る雪の乱舞に仰天。眠気も吹っ飛び、薄明の裏庭に目を凝らせば、しんしんと降る雪、既に庭一面の綿帽子。

寒さに震えつつも、一気に変わるその気まぐれな風景に、暫し詩作の風情の味わい。

されど彼の貧弱なる脳ミソに浮かぶ感動の言葉、哀しいかな全て中途半端に浮かんでは、片っ端から消えていく。

♪雪は降る〜あなたは来ない…アダモの歌など調子っぱずれに歌いつつ炬燵にもぐり、のんびりと地元紙のおくやみ欄に目を通し、知り合いの名など見当たらぬことに安堵しつつ、やがて舟こぎコックリ。

 やけに目玉の大きい、しかし貫禄のカケラも無い、妙なハト時計のポッポー・ポッポーと8回程鳴く声に目を覚まし、慌てて遅めの朝飯。

助平、最近何故か食事中に鼻水垂らすが、加齢による機能退化現象うんぬん等には全く頓着せず、飯粒こぼしつつ玉子かけご飯をかき込む。(玉子かけ飯の場合、鼻水が飯の上に垂れても、違和感がないらしい。…これは奥の研究による)

大方食事の終わる頃、ふと窓の外に目をやると、いつの間にやら雪は消え、雲間に晴れ間が覗くという誠に根性の無い雪の降り方。

「まるで助平殿のようでございますな。」と奧から嫌み呟かれ、ついつい「はい!ごもっとも」と答えてしまう情けなさ。

 生まれてこのかた初めて目にした雪桜も、たちまちのうちに消え去り、風に舞う花びらの乱舞。さすがに寒暖の右往左往の呆れた日々も、鯉のぼりのちらほらはためく頃にもなると、一気に初夏の陽気。

あまりに慌しき陽気の変化に、相変わらず口だけは達者なる爺やも、さすがに体がついて行かず、すっかり意気消沈。

助平も然り、仕舞い込んだ股引出しては引っ込めまた出して、ウロウロアタフタしている最中、厩橋に一人住まい致す娘が、何故か今頃になって福豆持ってやって来た。

なんでも、教え子からの節分の福豆のプレゼントだそうだが、そのまま忘れていたものを、処分に困り持参したものだとか。

今更豆まきでもなかろうと思いつつ、豆をいじっているうちに、ふと幼き頃の娘との豆まき騒動思い出し、哀しくも懐かしき思いに暫しうつむき、少々感傷的な心持ち。

 その昔、節分といえば、夕食後「福は内、鬼は外」の大声があちらこちらの家々から聞こえてきたものである。

助平の娘幼少のみぎり、彼も一応人並みに豆撒きをやったものである。やたら大声で家中に豆撒き散らし、その後奧の目を盗んでは、娘に余った豆を天井高く投げさせ、助平、大口開けて上を向き、口で受けては遊んでいた。

 やがて娘の垂れた洟拭いてやっているうちに、助平何気なく、固く丸めたティッシュを己の鼻めどに突っ込み、別の鼻めどを手で塞ぎ、思い切り鼻から息を噴出してみた。

するとティッシュ玉はスポット飛び出し、意外とこれがうまく飛び、1間程(約1.8m)先まで飛ばすことが出来るではないか。

父のその姿に娘忽ち興味を示し、やらせろとせがむ娘に早速伝授。小さく丸めたティッシュを、娘の鼻に詰め、上を向き「ハナデッポ打つぞスッポンポン」(水鉄砲の替歌)の歌声に合わせ、思い切り「フー!」。娘、吹き飛んだティッシュを見ては大喜びで「キャハハ−!」。

 夢中になって花鉄砲遊び続けるうちに、ふとこの豆ならば、娘の鼻めどにぴったり合うであろう。しかも更に遠くへ飛ぶであろうこと間違いなしと思い立ち。

早速娘の鼻に豆を詰め、例の如く別の鼻めど手で塞ぎ、上を向いた途端シャックリ!

豆は鼻の奥深く潜り込んでしまい大慌て。

懐中電灯かざし、鼻メドの中覗いて見るも、どうにもならず。耳かきでほじくり出そうと、必死に試みるが、豆は益々奥に逃げ込むばかり。

 娘は泣き出し、いよいよ慌てふためき、やがて大騒ぎ。更に耳かき用いて鼻メドいじり廻しているうちに、「ハーックション!」幼児とはとても思えぬ大クシャミ。

同時に覗き込んでいた助平の顔面に、鼻汁混じりの豆が飛び出し、ポコリベットリ

。 騒ぎ聞きつけ戻ってきた奥に現場しっかり押さえられ、こってり油絞られしこと、勿論言うまでもない。

その後、事あるごとに「将来そなたが嫁ぎ、子を生した暁には、間違っても父様に子を預けてはなりませんぞ。」と言い聞かせつつ育てた甲斐あり過ぎたか、嫁ぐことすら敬遠する始末。

以下次号へ続く・・・


トップページに戻る

(C)Copyright 2002-2010 Yorozuya Yonosuke All Rights Reserved.