「群馬県空き家対策プロジェクト」相談四方山話
空き家に関する様々な相談を受けていると、空き家になってしまう前に、対策を立てておきたいという相談が、
少しずつ増加しているように思います。その中から参考になりそうなお話しを紹介しましょう。
その1 北軽井沢にお住まいのご夫婦からの相談
例年になく、暖かく誠に穏やかな日差しに、桜も慌てて開花を始めた弥生も半ば。中之条の女親分、
向井のアネゴから突然余之助に電話あり。「あのさー、北軽井沢の初老の夫婦から電話相談が来たんだけど、
アンタ話を聞きに行ってやっておくれ。アタシも一緒に行ってやるから。」
太田から群馬の外れ迄は結構な距離だと思うと、余之助少々気が重いが、アネゴに逆らうと後が怖いとばかり、
「はい!承知致しました。」と打てば響くが如き素早い返答。
渋川から真田街道をひたすら西へ、着々と工事の進む八ツ場ダムを左手に眺め、更に進むと、
間もなく長野原の趣ある街並みに入る。ここから北軽井沢に向って登って行くと、北軽高原の爽やかな風を
ほほに受け、ほっと一息ついたところで、目的地の相談者の住いに到着。
余之助、テレビで話題の「ぽつんと一軒家」のイメージを描いていたが、そこは平成初期に長野原町が造成した住宅
分譲地であった。周囲には程良く住宅が並び、イノシシやクマとは縁のない別天地のような雰囲気を感じる所であった。
余之助とアネゴは相談者のKさんご夫妻に迎えられ、こ洒落た建物の中に入ると、なかなか落ち着いた雰囲気である。
Kさんのお話し:私と妻は70才前後で、現在至って健康で、リタイア後は悠々自適の生活をしています。ただ気掛り
なのは、子供も居ないし縁者は弟1人のみ。
何れ吾々が動けなくなり、介護施設に入居することになったら、この家が空き家になってしまう。弟に水を向けると
「いざという時に、兄貴の面倒みるどころか、その頃はこっちもイカレておるよ。」との切ない返事。
そんな訳で、今の内にいざという時になったら、この家をもらってくれる人を、選任しておけば、安心して老後を
過ごせると思う次第でありますとのお話し。
余之助達は「急ぐ話ではないので、しっかり引き継いでくれる人を探してみましょう。その後遺言状も作成しましょうね。」
とアドバイス。
このような相談は今後益々増加することと思われますが、世の中には良からぬ事を企む輩も、これまた増加するやも
知れません。相談先は行政等に問合せ、又は経験豊富な市民活動組織を選ぶ事も重要かと思う、アネゴと余之助であった。
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