<<<<<<<<　左大臣助平（スケヒラ）の悩み「保釈金」>>>>>>>>

爺や：　スケヒラ様、彼の世を騒がせましたホリノエモンと言うお方が、3億円の保釈金で娑婆に出て来られるそうにございます。あのようなお方には構えてお近づきになられませぬよう、ご注意くださりませ。

助平：　ホリノエモンとな？　はて、五右衛門の子孫にそのような者がおったかの。さすれば大層剛の者であろう。

爺や：　いえいえ、口だけは豪のようでございますが、聞くところによりますと、他人（ひと）のフンドシ付けて踊るのがお上手とか。

助平：　少々汚いの、それにしても3億とは豪気ではないか。ところで余がお縄になったあかつきには、そのう、保釈金は如何ほどであろうか。

奥方：　相変わらずバカなことお考えで、結構なことでございますこと。スケヒラ殿の保釈金はせいぜい千円がよいところでございましょう。

助平：　それはチト安過ぎはしないか。せめて3万円にしてくれぬか。

奥方：　保釈金は重要なる人物であり、叩けばホコリの出る方ほど高いと聞き及んでおります。スケヒラ殿は中身が薄い故、隠す物が無いではありませぬか。そのようなお方に、お上は高い保証金は求めませぬ。

助平：　ならば、隠し事をたんとすればよいのであろう。さしずめ隠し子なれば、余にも作れるやも知れぬ。

爺や：　アワワ！すけひら様、何卒これ以上のスケベイはお控え下さいませ。

奥方：　スケヒラ殿！　出て行ってくださいませ！最早この上アナタ様の面倒みること御免こうむります。

爺や：　ママママ、奥方様、これはスケヒラ様のご冗談でございます。　

助平：　余は冗談とトコロテンは嫌いじゃ。

奥方：　爺！　そなたが甘やかすから、スケヒラ殿は腑抜けになったのではありませぬか。

爺や：　奥方様、それは、あまりと言えばあまりのお言葉、爺は・爺は…首くくりまする。　

　奥方鬱憤の矛先が爺やに向けられたは、これ幸い。逃げ足だけは先ずもって諸人に引けをとらぬスケヒラ。ふと二人が気付いた時には、彼の姿既にその場にある訳も無し。